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黒皮の上から塗装やメッキはできる?除去処理不要の塗料も紹介

鋼材の黒皮イメージ

鋼材に塗装やメッキを施す際に、「黒皮の除去は必ず必要なの?」と疑問に思われたことがあるかもしれません。結論から言うと、一般的には黒皮を除去することが多いのですが、実は黒皮の上に塗装できる塗料もあります。この記事では、黒皮の基礎知識や黒皮除去を行う場合の処理方法に加え、黒皮の上に塗装可能な塗料についても紹介していきます。

黒皮(ミルスケール)とは、鋼材の表面に生じる酸化皮膜のこと。

黒皮とは

黒皮は、鋼材を熱間圧延した際に発生する酸化皮膜(黒錆)のことで、ミルスケール(mill scale)とも呼ばれています。表面が黒っぽい皮で覆われているように見えることから、この名がついています。酸化皮膜は、言い換えれば黒錆。熱間圧延によって熱せられた鋼材が、冷める過程で空気中の酸素と結合することにより生成されます。黒皮で覆われた鋼材は黒皮材と呼ばれており、ザラザラとした表面です。

一般的には、メッキ加工や塗装を行う前に黒皮除去が必要な場合が多い

黒皮の除去処理には、ショットブラストや酸洗いといった方法がある

細かな粒状の投射材を吹き付けて、表面を削る処理方法。黒皮を除去するとともに、表面に小さな凹凸をつけることで、塗装やメッキを付着しやすくします。

塩酸や硫酸などの溶液に浸して、表面の黒皮や錆などを除去する作業。一般的には、「脱脂」→「水洗い」→「酸洗い」→「水洗い」→「中和」→「水洗い」→「乾燥」といった工程となります。酸洗いは、鋼材に溶融亜鉛メッキを施すときにもよく行われています。

黒皮がないミガキ材もあるが価格は高め

鋼材の種類には、黒皮材のほかにミガキ材と呼ばれるものもあります。こちらは、熱間圧延した鋼材に冷間圧延で加工を行ったもので、黒皮はなく光沢感のある表面が特長。ただし、黒皮材よりもコストが高めなので、寸法精度が求められる際に使うなど、用途を考えて選ぶ必要があります。

タフマックスNeoの防錆塗料なら、黒皮の上に塗装できる!

防錆塗料タフジンク-11イメージ

タフマックスNeoは、未来建築研究所で販売している無機塗料シリーズ。その中で、鋼材向けの塗料が防錆塗料のタフジンク-11と仕上げ塗料のSSA-1000です。タフジンク-11は黒皮の上から塗装できるだけでなく、溶融亜鉛メッキを上回る防錆性も魅力。溶融亜鉛メッキに代わる防錆手段としてもご利用いただけます。

【促進試験内容】
N4の黒皮付き鉄板、70㎜×150㎜の試験片にタフジンク-11を塗布。2㎜、3㎜幅に碁盤目のクロスカットを行った後、セロハンテープを付着して剥がし、塗膜の付着力を確認。

黒皮付着試験クロスカット

試験場所:東京都立産業技術研究センター

黒皮付着試験クロスカット

結果】

カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にも剥がれがなかった。タフジンク-11を黒皮の上に直接塗布しても、付着力に問題はない様子。

黒皮付着試験結果クロスカット

【促進試験内容】
N4の黒皮付き鉄板50㎜×50㎜の試験片3枚にタフジンク-11を塗布し、接着剤で試験円筒(314㎟)を接着させた後、引っ張り破壊力を測定する。
・A=基板の凝集破壊
・A/B=素地と第一塗膜との間の付着破壊
・B=第一塗膜の凝集破壊
・B/Y=第一塗膜と接着剤との間の付着破壊
・Y=接着剤の凝集破壊
・Y/Z=接着剤と試験円筒との間の付着破壊

試験場所:東京都立産業技術研究センター

結果】

基盤とタフジンク-11との付着破壊が見られた数値は破壊強さ2MPa 以上であり、タフジンク-11 を黒皮の上に直接塗布しても付着力に問題はない様子。

黒皮付着試験結果プルオフ

タフジンク-11は、黒皮(黒錆)を完全に除去しなくても、鉄素地に対して高い付着力を発揮します。これは、いわゆるアンカー効果(表面の凹凸に引っかかる物理的な密着)とは異なり、化学的な結合を利用した密着メカニズムを備えているためです。
黒皮とは、鉄が酸化することで生じる酸化鉄の皮膜であり、主にFe₃O₄などが含まれます。この酸化皮膜の表面には、水酸基(–OH基)と呼ばれる極性官能基が多数存在しており、極性のある分子や樹脂とは化学的に結合しやすい性質を持っています。

タフジンク-11に使用されている無機顔料やフィラーの表面にも水酸基が多く存在しており、黒皮との間で極性どうしが引き合うことで、高い付着性を発揮。そのため、健全な黒皮であれば、黒皮を取り除かずとも、その上に高い防錆性能を持つ塗膜を形成できます。分かりやすく例えるなら、黒皮が「下塗り剤にも通ずるような」はたらきを持つ、といったところでしょうか。

一方、従来の有機顔料の表面には結びつく極性が少なく、黒皮との科学的な結合が起きにくい状態。黒皮の上からの塗布にも不向きです。従って、従来の有機塗料と比べると、タフジンク-11は下地処理の簡略化や密着性の向上といった実用面において優れていると言えます。

有機塗料の場合

黒皮と塗膜との科学的な結合が起きにくく、
密着性に乏しい。

タフジンク-11の場合

黒皮と塗膜との科学的な結合により、
密着性に優れている。

高濃度の亜鉛粉末を配合し、耐食性が高い

タフジンク-11には亜鉛粉末を約85%配合。亜鉛粉未が塗膜を形成し、腐食から鋼材を守ります。また、亜鉛には、水や空気に触れると鉄より早く溶け出す「犠牲防食」と呼ばれる作用があります。傷がついたり鉄が露出しても、亜鉛により生成された酸化皮膜が表面を覆い、防錆力を維持できます。

溶融亜鉛メッキを上回る錆止め効果を発揮!

試験では、タフジンク-11が溶融亜鉛メッキよりも高い防錆性を発揮する結果に。溶融亜鉛メッキとは違って、現地での補修が可能なのもポイントです。
また、仕上げ塗料のSSA-1000を塗り重ねれば、耐候性が高まり紫外線による劣化も抑制。塗装をより長持ちさせることができます。SSA-1000は、日塗工(日本塗料工業会)の色番号に合わせた調色も可能です。

溶融亜鉛メッキとの防錆比較

※溶融亜鉛メッキとタフジンク-11の複合サイクル試験の結果。都立産業技術研究センターにて、1サイクル8時間で実施。

黒皮除去の工程が減り、溶融亜鉛メッキよりもコストダウン

タフジンク-11なら、溶融亜鉛メッキで必要な黒皮を除去する工程が不要!その分の費用や時間を削減できます。

【新設鋼材での比較】

溶融亜鉛メッキとのコスト比較

環境にやさしい水性の無機塗料

錆止め塗料のタフジンク-11と仕上げ塗料のSSA-1000は、どちらも水性無機塗料。炭素の含有量が少なく、カーボンニュートラルにも貢献できる製品です。また、シンナーを溶剤に使う有機塗料とは違い、VOCを発生することもありません。引火の不安も解消できます。

製品の販売だけでなく、塗装工事にも対応!

未来建築研究所のリニューアル事業部では、改修や修繕工事も承っており、ビルやマンションの大規模修繕、工場設備など幅広い工事に対応。工事規模に関しても大小を問わず行っております。また、塗料のご提供から施工やアフターフォローまでのトータルサポートも可能。未来建築研究所には構造設計を行う部門もあり、耐震診断等を含めたサポートも可能です。

塗装・施工のトータルサポート

タフジンク-11やSSA-1000については、商品ページでネット通販も実施中。価格などの詳細は、こちらでご確認くださいませ。

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