溶融亜鉛メッキに塗装したいけど、塗料の種類や方法は?補修にも使える?
「溶融亜鉛メッキが剥がれてしまい補修したい」「亜鉛メッキの耐久性をさらに高めたい」など何らかの理由で、亜鉛メッキ上への塗装を検討することもあるかと思います。そんなときに気になる、「そもそも、亜鉛メッキに塗装はできるの?」「どんな塗料を選べばいいの?」といった内容について解説していきます。
目次
溶融亜鉛メッキの上に塗装できる塗料もあるが、対応製品は限られる。
高い防錆性で知られる溶融亜鉛メッキですが、年月が経てば錆が発生してしまい、補修が必要になる可能性もあります。塩害を受ける場合には、耐用年数が短くなってしまうことも。しかし、溶融亜鉛メッキを再度メッキ加工で補修するとなったら、部材を一度取り外して工場に運んでからメッキを施す必要があり、コストも手間もかかってしまいます。そんな時に役立つのが塗装による防錆です。
とはいえ、どんな塗料でも大丈夫、という訳ではありません。というのも、亜鉛は「イオン化傾向」の高い金属。溶融亜鉛メッキの特長である、鉄が傷ついたときに亜鉛が鉄より先に溶け出して素地を守ってくれる「犠牲防食」もこの性質を利用したものです。一方で、この「イオン化傾向」の高さにより、上に塗った塗料と反応してしまう可能性も。亜鉛メッキの上に塗装するためには、しっかり密着するように、適した製品を選ぶ必要があります。
ジンクリッチペイントが使われる場合もあり、主な種類は有機系と無機系。
亜鉛メッキの補修時に使われる塗料として挙げられるのが、ジンクリッチペイントと呼ばれる高濃度の亜鉛を含む塗料。亜鉛メッキと同じく、亜鉛による防錆メカニズムを利用した塗料です。エポキシ樹脂などを使った有機系と、アルキルシリケートやアルカリシリケート等を使った無機系に大別され、防食性や耐熱性は無機系の方が高い傾向にあります。
いずれにしても、錆が発生した鋼材の補修に使う場合は、汚れや錆などを落としてから塗装を行っていきます。
水性無機塗料タフマックスNeoなら、亜鉛メッキの補修にも使え、防錆性も高い。
タフマックスNeoは、未来建築研究所から販売されている水性無機塗料シリーズ。その中で鋼材用の製品が、錆止めのジンクリッチ塗料・タフジンク-11と仕上げ塗料のSSA-1000です。溶融亜鉛メッキが剥がれた場合の補修にも、新設の溶融亜鉛メッキ鋼材の耐久性向上にもお使いいただけます。
亜鉛の「保護皮膜」と「犠牲防食」による高い耐食性
タフジンク-11の主成分は、約85%配合された高濃度の亜鉛粉末です。この亜鉛粉末が「保護皮膜」を形成し、鋼材の錆を防止。また、傷がついた場合に亜鉛が鉄より先に溶け出す「犠牲防食」でも、鉄の素地を守ります。溶融亜鉛メッキにもこれらの作用はありますが、溶融亜鉛メッキ以上の防錆効果が試験によって確認されました。
※溶融亜鉛メッキとタフジンク-11の複合サイクル試験の結果。都立産業技術研究センターにて、1サイクル8時間で実施。
剥離した亜鉛メッキの補修にも、新設鋼材の耐久性向上にも使える
溶融亜鉛メッキが剥がれてしまった際の補修には、タフジンク-11を塗装することで防錆処理が可能。タフマックスNeoによる防錆塗装なら、溶融亜鉛メッキを再度施す場合とは違い、現地で補修できます。
また、タフジンク-11の上に仕上げ材・SSA-1000を塗り重ねることで耐久性や耐候性がアップ。SSA-1000は無機顔料などの無機成分を多く含んでいるため、紫外線などによる劣化が起きにくくなります。
【溶融亜鉛メッキの補修工程】
●素地調整
2~3種ケレンして白錆や赤錆を除去
タフジンク-11を溶融亜鉛メッキ層の剥離部に0.15㎏/㎡塗布
↓
●タフジンク-11塗布
↓
●乾燥
1~3時間、防錆のみの場合ここで完成 ※2度塗りで採用される場合も
↓
●機能性着色コート剤SSA-1000塗布(1回目)
↓
●乾燥
1~6時間
↓
●機能性着色コート剤SSA-1000塗布(2回目)
↓
●乾燥
1~6時間
↓
●完成
溶融亜鉛メッキ鋼材を補修する場合、メッキの残っている量によっては、タフジンク-11を塗らず直接SSA-1000を塗る場合もあります。
また、新設の溶融亜鉛メッキ鋼材の上にSSA-1000を塗布して耐久性・耐候性を高めるといった使い方も可能。亜鉛メッキ鋼材にSSA-1000を塗布すればその上にセラミック膜を形成し、防錆効果を長く維持できます。
【新設・溶融亜鉛メッキへの塗装工程】
●素地調整
塗装面の油脂、ごみ、ほこりを除去し、表面が十分に乾燥していることを確認
↓
●機能性着色コート剤SSA-1000塗布(1回目)
↓
●乾燥
1~6時間
↓
●機能性着色コート剤SSA-1000塗布(2回目)
↓
●乾燥
1~6時間
↓
●完成
自由に調色が可能
仕上げ塗料のSSA-1000は調色が可能。亜鉛メッキ自体の色にバリエーションはありませんが、その上からSSA-1000を塗布することで、建物のデザインや目的に応じた色にすることができます。
【改修事例】
鉄道会社の線路通用口
溶融亜鉛メッキ鋼材への塗装事例。線路の通用口を、スカイツリーと同じ日本の伝統色「藍白」で彩りたい、とのご要望にお応えしました。SSA-1000はマットな艶消しカラーなので、日本の伝統色ともマッチしています。
塩害対策や過酷な環境にある建物にもおすすめ!
塩害地域にある鉄道橋での採用事例では、20年経っても錆の発生を抑制。錆が出やすいボルト部分からも錆の発生を抑えられています。
溶融亜鉛メッキであればドブ漬けメッキ槽に入らないサイズの部材は対応できませんが、塗装であれば大きな部材であっても対応可能。橋梁やプラントといった大規模な建造物にもおすすめです。タフマックスNeoの防錆塗料は、発電所や鉄塔、工場といった建造物でも採用実績があります。
未来建築研究所の関連会社である向山工場の新設ダクトでは、従来の耐熱防錆塗料との比較試験を実施。ダクトは平日夜間に加え休日は24 時間稼働し、表面温度は 300℃程度まで上がる厳しい環境ですが、錆の発生を抑えられています。溶接箇所や複合部でも健全な状態を保つことができました。
【改修事例】
製鋼建屋バグハウス
向山工場では、製鋼建屋バグハウスの防錆塗装の補修でも、タフマックスNeoの防錆塗料を使用。溶融亜鉛メッキ合板の上にSSA-1000を塗装した事例です。
環境にやさしく防火性の高い水性・無機塗料
CO2を含まず、環境にもやさしい無機塗料。溶剤はシンナーではなく水なので、施工時の臭いや引火も防ぐことができ、難燃性1級認定も取得済み。シンナーを使った塗装のようにVOCを発生することもなく、近くを通る人や作業者にとっても安心です。住宅街での作業も多い防錆工事に際し、安全性や低臭性でも評価され、採用に至ったケースもあります。
省工程で作業効率が良い
日々風雨にさらされる建造物の防錆では、何層にも塗り重ねる「重防食塗装」を行う場合もありますが、従来の有機塗料による塗装の場合、工程が多くなってしまいます。タフマックスNeoを使った防錆塗装では、塗り重ねが少なくて済み効率的。工事を早く完了させたい場合にもおすすめです。
【おすすめの活用シーン】
高速道路
交通量の多い高速道路では、補修による交通規制の時間をできるだけ短く抑えたいものです。そんなときも、タフマックスNeoによる防錆塗装なら、施工時間を短く抑えることが可能。実際に、首都高速道路や大山崎ジャンクションなどでの採用事例もあります。
詳しい情報は、製品ページでもご紹介していますので、併せてご覧くださいませ。
製品ページはこちら
また、他にも、溶融亜鉛メッキや有機塗料による塗装と比べたメリットが様々にあります。詳しくは、別の記事でもご紹介しています。